2008/90分/カラー/アメリカンビスタ/35ミリ/日本語、タイ語、フランス語
彩子30歳。
日本を旅立ちタイに降り立った。
雑多で人々が溢れ返るタイの街。駅前に止まっていたタクシーに乗り込み、宿泊先のナラコートホテルを告げる。
しかし、ホテルに向かうはずのタクシー車中から見えるのは人気のない山道。
彩子は自分の身に危険を感じ、車を飛び出してしまう。
スーツケースも持たずに森の中に逃げ込む彩子を追いかけるタクシードライバー(マーヴィン)。
息を切らしながら必死に森の中を進んで行くと、袈裟を着た若く美しい僧に出会う。
あまりの美しさに逃げていたことも忘れてしまう彩子。
我に返るとその美しい僧の姿はなく、花を摘んでいるフランス人(グレッグ)を発見する。
追いかけられているのだ、と助けを求めるが言葉が通じない。
尋常ではない様子の彩子を見ると、フランス人は美しい緑の森と静かに水をたたえる川のほとりの一軒の民家へ案内する。
そこには、タイ人の親子(母親アマリと幼い息子トイ)とその祖母が暮らしていた。
ここがどこなのか分からない、言葉が通じない。
癒されるはずの場所で熱気だけがまとわりつき、心と体で衝突する日々。
コミュニケーションがとれないことからのもどかしさといらだつ彩子にアマリはタイの古式マッサージを教える。
タイで日常的に行われている古式マッサージは、異国に辿り着き、戸惑い、苛立っていた彩子の心と身体の滞りを流して行くのだった・・・
始めはおびえていたマーヴィン、優しいアマリとその息子トイ、グレッグたちと時には衝突しながらも、心で触れ合うことで少しずつ自分と周囲との調和をとっていく彩子。
ある朝、オレンジの袈裟をきた出家僧たちの行列の中に森で出会った美しい僧を見つける。
祈りを捧げる僧たち。喜捨を行うタイの人々。その僧の姿が目に焼き付いてしまう彩子。
そしてアマリは、トイを出家させようと決意するのだった。
見知らぬ国で体験した七つの夜が彩子にもたらしたものはなんだったのか・・・
この映画の制作では、キャストに台詞の入った脚本の代わりに場面の概略を示すメモなどを渡して、キャスト自身の言葉を台詞とする方法で撮影されている。
監督・編集 | 河瀨直美 |
プロデュース | 長澤佳也 |
脚本 | 狗飼恭子、河瀬直美 |
撮影総監督 | キャロリーヌ・シャンプティエ |
制作 | リアルプロダクツ |
特別協賛 | SINGHA BEER |
製作 | リアルプロダクツ ポニーキャニオン、ファントムフィルム、ビジュアルアール、百々俊二 |
配給 | ファントムフィルム |
長谷川京子
グレゴワール・コラン
キッティポット・マンカン、
ネーッサイ•轟
ヨーヘイ•轟
村上淳
組画+ポニーキャニオン+ファントムフィルム+ビジュアルアーツ+百々俊二